イギリスを食べ歩く T


イギリスを食べ歩く、これは私がどの国を訪ねても最も重要視する項目なので、特に違いは無いと思われるだろうが、
やはりその国々により楽しみ方が異なる。

基本的にはいつも、日本で例えれば、その地域の料亭の食べ歩き、旅館での食事、地域食(そば等)や保存食、庶民の味わい等を、
まんべんなく取り入れて食を求めて、偏らなく、また一つの指標でその土地を認識しないように心得て出掛けるようにしている。

またアジアなど、食習慣的に屋台のような外食が生活に密着した国、宮廷料理などの流れを汲む文化背景、主食と食事とのバランスなど、それぞれの国や地域の特徴を考慮に入れて、しかもまんべんなく探る努力をしている。
また中華街や韓国人、インド人街など、その国の中でのコミュニティーの違いを見る事や、日本と異なり同じ都市の中でも地域により貧富の差が生じている背景も考慮して探らなければならない。

これをイギリスに当てはめると、様々な要素が複雑に絡むので、一言で「ロンドン」や「イギリス」を語ることはとても出来ない訳だ。

しかし、そうは言っても最短距離でおおよその枠組みを捉えることは可能で、ここではイギリスの食に出会う方程式をお伝えしたい。

(イギリスの食べ歩き、マニュアル)

1、ロンドンなど都市、カントリーサイド、観光地を分別すべし

   イギリスの場合、都市とカントリーサイドでは、まるで生活の質に求める要素が異なる。
   東京に憧れを持ちどこでも同じ発展や開発が進む日本では考えられないが、英国の都市とカント
   リーサイドではまるで異国と捉えてもいいほどだ。
   となると、生活者が求めるものも異なり、日本で食に困った時にはコンビニ、ファーストフード、
   ファミレスと逃げ込めそうだが、イギリスの田舎ではそうはいかない。何も無いのだ。
   そして、これで不便を感じないで生きることがカントリーライフ、楽しみは便利とはまるで逆さに喜
   び感じるのだ。

   では、田舎に行ったら美味しいものが無いから、やっぱりガイドに載ってるレストランがある都市
   に行かなくちゃと考えてしまいそうだが、イギリスはそうではないのだ。

   だからロンドンなど都市ではガイドブックが少しは役立つかも知れない、でも一歩圏外に出れば、
   有名になりたい店を除けばおよそ、情報が無く自分自身で美味しい店を見つける必要がある。

   そしてさらに厄介なのはいわゆるイギリスの観光地(この考え方が難しい)。私達日本人のイメー
   ジする観光地と、イギリスは異なる場合も多い。観光バスが集まり、史跡など名物があり、土産物
   屋でも数店あれば分かり易い観光地だが、ただ数件の家々が並ぶ美しい村も観光地である。
   またバースやオックスフォード、エディンバラなど都市であり観光地でもあり。

   ここで考えるべき見方は、外部の人にとってファッショナブルで美味しそうで訪れやすそうな店を求
   めるべきか、地元の人の日常にある美味しいものを求めるべきか、を設定することであり(日本な
   らおしゃれな本に出てる様な店か、地元の美味しいけど鄙びた入りにくそうな店)、イギリスの特徴
   はこの両方を携えてる店が多くあることに注目しなければいけない。

   その典型的な例が、田舎にあるPUBやグルメPUB、地域の中華やインド料理など専門店などだ。
   例えば地方で愛される外国料理店はイギリスの場合、店が入りやすい。本国では外国人がスッと
   入り込みにくそうな料理屋で移民や外国人が料理していても、店はとてもきれいで入りやすい。
   
   また最も特徴的なPUBという存在は、最近では誰でも気軽に入れる雰囲気となり、尚且つ地域の
   食材、イギリスの家庭料理や伝統的料理がプロの料理として簡単に食べることが出来る。
   時としてそれはとても衝撃的な美味しさに出会うことも少なくない。

   PUBは交通の便が良くないところに通常は美味しい店があるが、それでも村の人に「どこかお薦
   めの店はない?」と聞けば、きっと食べ歩きポイントを高めてくれる確率が増えそうだ。
   
   だとすれば英国の美味しい店に出会うのは、資料よりガイドブックより、店の外観や内装と、スタッ
   フの雰囲気、そしてMENUを吟味して、自分の感を信じて勇気をもってチャレンジすることが重要
   だ。そして何より地元のお客さんに愛されてる事が、イギリスの美味しいものに出会うのは一番の
   近道。

   近くにガイドブックに載り観光客で溢れてる店より、地元民で溢れる店、それを教えてくれる住民
   とコミュニケーションが取れることも重要だ。
   そしてそうしてるうちに、聞かずとも知らずと外れない鉄則が身についてくるから不思議だ。

   だからこそ、美味しいものに出会いたければ、日本とはまるで逆で、まず純粋なカントリーサイドを
   攻めるがいい。

   とんでもない田舎の住民数名の村のPUBで、中に入ったら人が溢れている、驚きの光景に遭遇
   するかもしれない。

   2013年2月13日
   小澤桂一



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