イギリスを食べ歩くU

イギリスの美味しいものに出会う方法。
と題して、実際の英国の美味しいものに多くの人々が出会って欲しいと願い、それには、いくつか方法があるので、ここで紹介したいと思う。

美味しい英国料理に出会う方法は以前にご紹介した法則を上手に活用して頂きたいのだが、
今回はよく紹介されることのあるフィッシュ&チップスに触れたい。

まず、英国料理として紹介される事が多いが、これが本当に料理になっている店もあれば、
ファーストフードとして供されてる店もある事を前提に知って頂きたいと思う。

はじめにロンドンでふつう観光客が出会うフィッシュ&チップス(以後F&C)は、おおよそファーストフードとなる。
そのほとんどがいわゆる外国移民者などがケバブ等と一緒に販売してる店で、ロンドンの様々なストリートで見受けることができる。
確かに衣で包まれた魚揚げとポテトフライが供され、店内でも食べられる様になっている。
しかし、ここでは美味しいF&Cに出会える訳もない。
これは確かにF&Cなのだけれど、けしてF&Cではないのだ。

さて、それではとロンドンの料理屋を探ると、大抵の食堂にもF&CはMENUに載っている。
私も沢山試してみた。でもどれも、全然「これじゃない」のだ。
ガイドブックに載ってる市内の有名PUBも全然美味しくない。残念。。。

最近はそれでも、グルメPUBがスタイリッシュにF&Cを提供したり、まずまずの店も出てきた。
けれどF&Cの醍醐味や本質は、そこでは出会えない。

ではどうすれば良いのか。

まずは、前回と同じ様な話になるが、田舎に行くしかない。
それも漁港がある町や村へ。

そこではまるで経験や想像していた今までとは異なる、F&Cの優良店に出会えることだろう。
おおよそ美味しいF&Cの店とは、隣が魚屋だったり経営していたり、新鮮な魚がすぐ手に入る環境にあることに驚くだろう。

MENUは定番のコッド(鱈)やシュリンプだけではない。
さば、ひらめ、カレイ、鯛、烏賊、シュリンプ、鱸やサメ、それに鱈、その他諸々、しかも大小様々選べて、びっくりする程のボリュームでとても安く食べられる。
衣は香ばしくそれぞれの店の美味しさがあり、チップス(フライドポテト)は、ハンドカットして揚げたてをたっぷり提供するのは当たり前。しかも、魚はジューシーで、まるでロンドンなどのF&Cとは別物なのだ。
当然、たっぷりのモルトビネガー、と塩で食べる。タルタルソースやケチャップなんてあり得ない。

これは日本に宛がえても、美味しい魚介料理を求めて地方に出かける人も多いから、十分に理解できる事ではないだろうか。

もちろんその他の地域でも美味しい魚料理を提供する所は多い。
しかしF&Cの醍醐味とは、現代でいえばそんな漁師料理のような存在に見えてくる。

ならばロンドでは無理なのだろうかというと、最近は可能となったのだ!

F&Cを見直して、ロンドンでも並んだ魚からF&Cや魚介料理を提供してくれる、しかも入りやすい今風の店が出没してきたのだ。
どこまでダイナミックな醍醐味を感じられるかは分からないが、新鮮で美味しい魚ありきのF&Cという図は当てはまることになるだろう。

イギリスの美味しいものは、努力しなければ出会えない。しかしこれは日本も同じ。
日本ならどこでもあるさ、というレベルの店はイギリスでも同じこと、日本人だから知らないだけ。
それはタイだってトルコだってイタリアだってフランスだって中国だって同じこと。

ただイギリス料理の本質は食材による事が大きいので、それを理解するのが重要。様々な味わいで誤魔化さない純粋で繊細な料理の美味しさを知ったなら、英国料理エキスパートの仲間入りだ。

2014年3月
小澤桂一

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